講演会申込番号:191204

日時:令和元年12月4日(水)午後7時30分
      場所:葛飾区歯科医師会館
演題:「口腔機能発達不全症の基本的考え方と歯科的対応」
講師:公益社団法人日本小児歯科学会理事長
神奈川歯科大学大学院歯学研究科口腔統合医療学講座小児歯科学分野 
教授 木本 茂成 先生

抄録

平成30年4月に公的医療保険の対象として、新たに小児期の「口腔機能発達不全症」という病名が厚生労働省に認可され、それに伴い口腔機能の発達の遅れが認められる小児を対象として、歯科において口腔機能の発達に関する指導・管理が保険診療として受けられることになりました。

一方、老年歯科医学会から提案された、成人における「口腔機能低下症」という病名についても同時に公的医療保険の対象となり、歯科医療において、齲蝕や外傷など歯の実質欠損、炎症性病変などの器質的な異常に対する検査や処置以外の「口腔機能」を対象とした指導や管理が公的医療保険の対象となったことは、歯科医療において画期的な出来事といえます。

このように歯科界において口腔機能の管理が重要視されてきた背景には、高齢期におけるオーラルフレイルの予防を重視する立場に立った視点があります。

日本歯科医学会では、平成30年3月に歯科医療関係者が小児期の口腔機能発達に関する評価と適切な対応を可能とすることを目的として、小児の口腔機能発達評価マニュアルを作成し、同学会ホームページ上で公開しました。このマニュアルは口腔機能の発達を評価する上での診断基準の目安を提示しており、さらの対応する検査方法や基本的な対応を示しています。これにより、小児歯科を専門とする歯科医師以外でも、口腔機能の発達に関する評価を可能となっています。

現在、小児期の齲蝕罹患は減少しつつあり、小児歯科医療は口腔機能の発達支援という新たな役割を担う時代となっています。この口腔機能の獲得、維持、向上に向けた支援は、時を同じくして保険診療の対象となった成人の「口腔機能低下症」への対応とともに、歯科における乳幼児期から高齢期へとつながるライフコースアプローチとなります。

歯科における口腔機能発達不全症への適切な対応は、我が国の将来を担う子どもたちの健康を口腔機能の発達から支えることにつながります。歯科からのライフコースアプローチを実現するためには、多職種が連携し、健全な口腔機能の育成を目指すための協力が不可欠です。そして子どもの発達支援には、医療関係者のみならず、保護者、保育関係者、教育関係者、行政担当者等の早期の「気づき」が最も重要であると考えています。

本講演では、乳幼児期に獲得する口腔機能について、また日本歯科医学会において作成された「口腔機能発達評価マニュアル」に即した口腔機能発達の評価、さらに「口腔機能発達不全症」の基本的な考え方とその対応について概説させていただきます。

略歴
1984年 神奈川歯科大学歯学部卒業
1988年 神奈川歯科大学大学院歯学研究科修了(小児歯科学専攻) 
1991年 米国ミズーリ州、セントルイス市、ワシントン大学客員研究員(~1992年)
(Division of Bone and Mineral Diseases, Washington University Medical Center, St.
Louis, Missouri, USA.)
2006年~ 神奈川歯科大学小児歯科学分野、附属病院小児歯科 教授
2013年~ 神奈川歯科大学附属病院副院長
2014年~ 神奈川歯科大学大学院歯学研究科副科長
2016年~ 公益社団法人日本小児歯科学会理事長
2016年~ 日本歯科医学会常任理事
2017年~ 厚生労働省厚生科学審議会専門委員会(歯科口腔保健推進に関するワーキンググループ)委員(~2019年3月)
2017年~ 公益社団法人日本歯科医師会地域保健委員会小児歯科保健・食育ワーキンググループ委員(~2019年3月)
2018年~ 一般社団法人日本学校歯科医会口腔機能発達不全症に関する臨時検討委員会委員(~2019年5月)
2018年~ 一般社団法人日本歯科専門医機構 業務執行理事
2019年6月~ 一般社団法人日本学校歯科医会口腔機能発達不全症に関する調査研究委員会委員