【2024/07/24開催】第2回学術講演会のお知らせ

学術講演会を開催いたしますので、参加をご希望される方は、お問い合わせメール katshika@lily.ocn.ne.jp 宛にお申込みください。

講演会概要

日時 : 令和6年7月24日(水)午後7時30分
場所 : 葛飾区歯科医師会館
演題:口腔機能が歯列成長に及ぼす影響について -不正咬合の予防は可能か?-
講師:日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座
教授 根岸 慎一 先生

参加費用

  • 本会会員(無料 )
  • 他地区会員(2,000円 )
  • 都歯準会員(無料 )
  • 一般歯科医師(10,000円 )

抄録

口腔機能発達不全症が保険適応され,小児の口腔機能が顎顔面骨格および歯列形態の成長発育に影響を及ぼしていることは知られている。口腔機能に関与する舌,口唇および頬粘膜などの諸器官は咀嚼,呼吸,発話などのための主要機関として重要であり,これらのバランスが崩れることで良好な歯列弓の成長を営めなくなる可能性が高い。一方,日本小児歯科学会などの報告では乳歯列期に永久歯萌出のための空隙をもたない児童は30年間で約10倍に増加しており,成長期の不正咬合者は増加しているとされている。

当講座では1990年代と2010年代に小学生を対象とした6年間のコホート調査を実施し,さらに2024 年から3度目の調査を開始している。2度目の調査(2010年代)においては歯列形態以外にも咬合力や 咀嚼運動の評価など口腔機能についても経年的に資料を採取しており,さらに,食習慣と歯列形態の成長の関係についてもアンケート調査により行い,現代日本人小児の軟食化と不正咬合の増加の関連についても検討している。これらの調査から歯列形態は世代ごとに狭小化していること,口腔機能と歯列形態の成長には相関性が高いこと,口腔機能は成長により増加するが,種類により成長変化には特徴があることなどを報告している。最新のアンケート調査からは食習慣,特に硬く歯ごたえのある食品を好んで食べている児童はそうでない児童に比べて歯列形態および口腔機能に差がある可能性が示唆されている。

また,矯正歯科治療の効果と口腔機能の関連について臨床調査を行なっている。成長期の歯列不正患 者に頻繁に用いられている歯列側方拡大装置の治療効果と口腔機能の関連性については,咬合力,咀嚼運動パターン,偏咀嚼習慣などと拡大治療効果について検討を行いこれら口腔機能との関係性が示されてきている。
本発表では当講座が行なっている一連の研究成果を報告し,成長期児童における不正咬合治療の際の一助になればと考えている。

略歴

2004年 日本大学 歯学部卒業
2010年 日本大学大学院 松戸歯学研究科修了(博士(歯学))
2010年 日本大学松戸歯学部 専修医
2015年 日本大学 助教(松戸歯学部・歯科矯正学)
2018年 日本大学 専任講師(松戸歯学部・歯科矯正学)
2019年 The Adelaide University 遺伝人類学講座 リサーチフェロー
2020年 日本大学 准教授(松戸歯学部・歯科矯正学)
2022年 日本大学 教授(松戸歯学部・歯科矯正学)

資格

日本矯正歯科学会:認定医・指導医・臨床指導医(旧専門医)
ヨーロッパ舌側矯正歯科学会 Active member(認定医)

講演会に出席される先生はICカードをご持参ください。