【2023/12/13開催】公衆衛生講演会のお知らせ

平素は、公衆衛生事業にご協力を賜り誠にありがとうございます。さて、下記の内容で公衆衛生講演会を開催いたします。日頃の診療にも役立つ内容かと思いますので是非ご参加ください。
参加をご希望される方は、お問い合わせメール宛にお申込みください。

講演会概要

日時 : 令和5年12月13日(水)午後7時30分
場所 : 葛飾区歯科医師会館
演題 : 小児期にみられる空気嚥下症(呑気症)に対する小児歯科的アプローチ
講師 : 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科
   小児歯科学・障害者歯科学分野教授 岩本 勉 先生

抄録

空気嚥下症(いわゆる呑気症)は過剰な空気を嚥下することでお腹に空気が溜まり、お腹が張る症状や頻回のゲップや放屁といった症状を呈する疾患です。本疾患は、機能性消化管障害(Functional Gastrointestinal Disorders: FGIDs)の1つになります。機能性消化管障害は、不快な消化器症状を頻回に伴うものの内視鏡検査などの検査において原因となる器質的異常を認めない疾患で、生命に関わることはないのですが、消化器症状があるため、日常生活に非常に大きな影響を及ぼすことから、生活の質( QOL)の低下に繋がる疾患とみなされています。1988年にローマで開催された世界消化器病学会で定義され、その診断基準が提唱され、現在は2016年に改訂されたRoma Ⅳが最新のものとなります。   
空気嚥下症はRoma分類において、「小児期および思春期の機能性消化管障害」に分類されていることからも小児期においては見過ごすことができない疾患の1つであることがわかります。世界的な統計では3.5-6.3%の小児に空気嚥下症の児がいることが示されていますが、本邦における統計調査がほとんどないため、本邦における発症頻度は不明です。しかし、世界統計に合わせて考えてみた場合、約20人に1人の子ども達が空気嚥下症で悩んでいるかもしれません。
これまで空気嚥下症と診断した児を診察していく中で、過剰な空気嚥下の背景につながる口腔機能の問題が見えてきました。本日は、本疾患に対してこれまであまり歯科的なアプローチがなされてきていませんでしたが、われわれが新たな視点で活動をすることで、日々悩んでいる子ども達を救える可能性があります。今回、皆様とともに空気嚥下症について考えていきたいと思います。

略歴

1999年 長崎大学歯学部 卒業
2002年 長崎大学大学院歯学研究科博士課程 修了
2004年 米国国立衛生研究所 客員研究員
2006年 九州大学病院 小児歯科 助教
2009年 東北大学病院 小児歯科 助教
2012年 東北大学病院 小児歯科 講師
2013年 徳島大学 小児歯科学分野 教授
2020年 東京医科歯科大学 小児歯科学・障害者歯科学分野 教授