歯とお口のよくある質問

葛飾区学校歯科医会 学術部会作成

Q1, 乳歯のむし歯は永久歯に影響があるのでしょうか?

乳歯にむし歯があっても「乳歯はやがて永久歯に生えかわるから、むし歯になっても気にしない」と考えるお母さんが時々みうけられますが、実は永久歯に多大な影響があるのです。理由は次の通りです。

  1. 乳歯をむし歯にしている原因は永久歯にとっても同じことで、乳歯のう蝕罹患数が多ければ永久歯のう蝕罹患率も増加します。
  2. 乳歯のむし歯が大きくなり化膿性病変にまで至ると、まだ歯ぐきの中で発育中の永久歯の成熟を妨げることがあります。
  3. 乳歯のむし歯を悪化させ抜歯などで早期に喪失すると、あごの発育や永久歯の生え方に影響を及ぼします。

乳歯は永久歯の道しるべですので、むし歯にしないことが大切です。「かかりつけ歯科医院」で定期健診を受け、むし歯が見つかったら早めに治療しましょう。

Q2, 乳酸飲料はむし歯をつくることもあるのですか?

乳酸飲料は腸内細菌のバランスや免疫系の発達に重要な働きをしますが、酸性度の高い飲み物ですので、歯の表面に長時間さらされるとエナメル質を溶かし、むし歯の発生を助長すると考えられています。さらに乳酸飲料に含まれる糖分は、むし歯菌の成長をも助ける結果となり、摂取の仕方によってはむし歯の原因となりうるでしょう。

乳酸飲料に限らず、炭酸飲料のような「○○酸」が含まれるもの、酸性度の高い柑橘系100%果汁飲料やスポーツドリンクも同様なことが言えますので、これらの飲み物は節度をもって摂取し、摂取後はできるだけ歯磨きすることを心がけましょう。

Q3, 進行止め(商品名:サホライド)の効果について教えて下さい。

進行止め(商品名:サホライド)は、主にフッ素イオンと銀イオンからできています。これらのイオンが歯質と反応し、種々の生成物を作ることでむし歯の進行抑制効果を現します。

初期のむし歯に塗布することによって歯質の耐酸性を促し、歯の主成分(アパタイト)の結晶成長や再石灰化を期待するものです。しかし、「進行止め」は、むし歯の進行を完全に抑制するものではありませんので、家庭でのブラッシングでむし歯になりにくい環境を整えたり、定期的な健診が必要と考えられます。適応としては、本格的な治療が困難な低年齢児のための一時的な処置に用います。

また、銀イオンにより歯質が黒くなることがありますが、心配はありません。

Q4, 前歯が白濁しているのが気になります。

歯の表面の白濁は、その状態によって対応の仕方が変わります。歯の表面が白濁していてもツルツルしているようであれば、治療はせずに歯をよく磨いてもらい、経過観察だけで対応することができます。

逆に、表面がざらざらしていたり、凹んでいる場合はむし歯が疑われますので、治療が必要になるケースもあります。いずれの場合も、心配な時は「かかりつけ歯科医」に相談してください。

Q5, 歯の噛み合わせが悪いのですが、どうしたらよいでしょうか?

就学前のお子さんの噛み合わせで異常が多いのは、「指しゃぶり」による上の前歯の突出と、反対咬合(受け口)や交叉咬合(右または、左にずれて噛んでいるもの)です。

一般にこの時期の不正咬合は、骨格型(あごの骨自体に問題があるもの)は少なく、機能型(噛み合わせる時に一時的に不正になるもの)がほとんどですので、その後の歯の萌出によっては自然に治るものもありますが、あごの成長に影響が出たり、そのまま永久歯列に不正が残る場合があり、目安として4歳を過ぎても変化が無ければ、一度「かかりつけ歯科医」に相談されるべきでしょう。

さらに6歳臼歯(第一大臼歯)が萌出しても変化が無ければ、「咬合誘導」という特別な治療が必要と思われます。また、永久歯の前歯は、上も下も萌出時は不揃いであることが多いので、一概に治療が必要とは限りませんが、次の場合は要注意です。

  1. 上の前歯の隙間が著しく開いている場合。
  2. 指しゃぶり等の悪習癖の既往がある場合。
  3. 下の歯では、成長とともに必要な歯列の拡大が無い場合。
  4. 過蓋咬合(上の歯が下の歯を完全に覆っている噛み合わせ)や反対咬合の場合。

もし心配でしたら、早い時期に「かかりつけ歯科医院」でくわしく検査してもらうことをお勧めします。

Q6, 指しゃぶりがやめられません。やめさせるにはどうしたらよいでしょうか?

「指しゃぶり」は上顎前突や開咬の原因になりますので、3歳を過ぎても続くようならやめさせるべきなのですが、指にからし等を塗ったりして無理にやめさせようとしてもなかなか難しいのが現状です。

それよりも「指しゃぶり」とはお子さんの気持ちの寂しい時の行為ですので、十分にスキンシップをとってあげる必要があります。また、お母さんの話を理解するようになったら、「赤ちゃんのすることだから、もうやめよう」と説明してあげるのも効果的です。

Q7, フッ素は本当にむし歯予防に効果がありますか?

フッ素には次のような効果があり、むし歯の予防に重要な役割をはたしていると言えるでしょう。

  1. 歯の結晶成分(アパタイト)の石灰化を促進し、脱灰歯質の再石灰化を高める。
  2. 歯質との化学反応により歯の表面にフルオロアパタイトを形成し、歯質の強化と耐酸性を向上させる。
  3. 歯垢(プラーク)と反応し、ミュータンスレンサ球菌などの「むし歯菌」の成長を抑制したり、「むし歯菌」の酸の生成を抑制する。

歯科医院での専門的フッ素塗布以外に、現在日本ではホームケア用品として、フッ素を含んだ「歯磨剤」「洗口剤」などが市販されていますので、気軽に「かかりつけ歯科医」におたずねください。

Q8, どのような歯ブラシを選んだら良いでしょうか?

お子さんの歯ブラシの選択には、対象年齢が表示されている子供用(ヘッドが小さく、植毛も短め)がありますので、年齢に合わせて選ぶとよいと思います。
また、電動歯ブラシは、決して楽をするための

ものではないことを理解し、電動歯ブラシの持つメリットを十分発揮できるように、小学校低学年までは本人にやらせずに必ず保護者が施行するようにしましょう。

Q9, 仕上げ磨きは何歳まで必要ですか?

何歳までと言うよりも、上手にできるようになるまでやってあげてください。一人でできるようになる目安としては、男子では小学校中学年、女子で小学校低学年ぐらいと言われていますが、個人差があります。あまり早い遅いを気にせずに、しっかり磨けるようになるまで保護者が確認してあげてください。

特に6歳臼歯(第一大臼歯)が生えてきたら、これをむし歯にしないように入念にチェックしましょう。また、市販のプラーク染色剤を利用されると、歯の汚れの目安がわかると思います。歯磨きは大人でも上手くできないことが多いので、保護者の目で磨き残しをチェックする習慣はとても大切です。

Q10, 歯磨き剤はどのようなものが良いでしょうか?

歯垢(プラーク)は、機械的にこすり取ることによって落とします。「磨く事」は歯ブラシの効果であり、歯磨き剤は補助的なものと考えてください。薬効を表示してあるものもありますが、歯ブラシの使い方が十分でないと、その効果も期待できないでしょう。

歯磨き剤には研磨剤が含まれているものもあるので、正しく使えばプラークを落とす効率が上がりますが、多くの場合、歯磨き剤の使用によりかえって清掃が不十分になってしまいます。含有の清涼剤によって気分的にスッキリするため「きれいに清掃できた」と錯覚したり、また、歯磨き剤の発泡作用が強いと、歯磨きに必要な時間が十分でないうちにうがいをして終わりにしてしまう可能性があると推測しています。

Q11, キシリトールとは何ですか?

キシリトールは天然素材甘味料です。白樺や樫などの樹木から採れる成分(キシラン・ハミセルロース)を原料として、主にフィンランドで生産されています。キシリトールには、むし歯予防に役立つ作用として次ぎの2つが挙げられます。

まず一つめは、キシリトールの甘さにより、唾液を出させる効果です。唾液量が増える事により緩衝作用が高まり、歯の再石灰化を促進します。

2つめは、プラーク中のミュータンス菌を減少させ、酸生成を抑制する作用です。ミュータンス菌はキシリトールを取り込むことが出来ないため弱ってしまい、酸も生成できなくなります。

また、ネバネバしたプラークは、キシリトールによって落ちやすいサラサラしたプラークになり、歯磨きで簡単に取り除くことができるので、ブラッシングの効果も上がります。