『たんぽぽ歯科診療所』は、平成2年に開設されました。その年は国際老年者年であり、お年寄りを皆が支え合って大切にしていこうと世界中の人々が宣言を行った年でもあります。日本は今、世界でも有数の高齢化社会を迎えています。今まで社会に貢献されてきた方々が高齢を迎え、不幸にもご自宅や施設で寝たきりになられた場合、歯科は当時、往診といった診療行為がなじまず、診療ユニットの上で歯科診療を行うのがベストであるとの考えが主流でした。
その事は今でも変わりがありません。そこで私達は歯科診療を大きく2つに分けて考えました。
一つは歯科医と歯科衛生士とが患者さんの居るご自宅、施設に往診し簡単な治療、例えば入れ歯の調整や修理などを行う方法、もう一つは、歩けなかったり寝たきりの方で近くの歯科医院に行くことができない患者さんを、寝台車で亀有2丁目にある『たんぽぽ歯科診療所』に搬送し、医師による簡単な診察をした上で、診療ユニットの上で歯を抜いたり、歯を削ったりする方法です。
寝たきりの方は、歯科疾患以外に、心臓、血圧、糖尿病など、歯を治療する上で色々な問題がありますが、そんな時には『かかりつけ医』の意見書をもらい、担当の委員会で協議をして安全な治療方針を決めてから治療に当たるように勤めています。このような訪問歯科診療と固定歯科診療のシステムを採っているところは全国でも数多くありません。
『たんぽぽ歯科診療所』は全国でも注目され、多くの方が見学に訪れています。すべては区民である患者さんが寝たきりの状態になっても、安心して歯科診療が受けられるように葛飾区歯科医師会と葛飾区の協力で事業を行っています。